真っ白なフクロウが目の前にきたときには、正直夢でも見てるのかと自分の目を疑った。
12歳小学校6年生夏休み。
朝起きて窓を開けるとそこには真っ白なフクロウがいた。
「・・・は?」
何か脚の所に紙を挟んでいるフクロウが目の前を飛んでいて、疑問に思わない人がいるだろうか。
・・・イヤ思うだろう。
思わずは開いた窓を思い切り、力の限り、閉じた。
・・・そしてまた開ける。
「・・・何?」
フクロウに問い掛けても返事なんて帰ってくるわけ無いのは分かってるけど!
そう自身に言い聞かせながらも思わずそれを口にする。
フクロウはその羽を羽ばたかせながら、の顔をつついた。
「痛ッ!痛いー、痛いッ!!」
は自分の頭をつつきながら部屋に入ってくるフクロウをひと睨みする。
髪の毛がぼさぼさになったじゃんか!
そうフクロウに訴えながらフクロウが持っていた紙・・・もとい封筒を受け取った。
丁寧にそれを開けるとは目を瞬かせて音読する。
「殿・・・貴女にホグワーツ魔法魔術学校日本校への入学許可を与えます・・・。
入学意思のある方は9月1日ブランについて出てください、・・・って。ブランって君?」
プリントを片手にフクロウに視線を向けるとフクロウは自慢げに純白の羽を羽ばたかせた。
は頭がくらくらするのを抑えながらベッドにダイブした。
なんなんだ?、と封筒をひっくり返す。
中にはに入学証明証書というものが入っている。
後は名前を書くだけになってはいるのだが。
書いてその後もこのブランに渡せば良いとは書いてあるのだが。
そもそも魔法魔術学校とは本当に存在するのだろうか。
魔法は好きだ、と思う。
超常現象っぽいものも嫌いじゃない・・・が、それを信じると言うのはどうだろうか。
けれど今はこの手紙を信じるしかないのではないかと思う。
だってこのフクロウはちゃんと私のところに来たわけだし名前も書いてあったし。
どこかに、信じたいと思う心もあるわけだけれど。
「あたしが行くとして、それまで君・・・ブラン?どうするの?」
ブランはその羽を羽ばたかせると部屋の外へ出て、また戻ってきた。
「9月に迎えにきてくれるんだ!」
はぱちーんと手を鳴らすとフクロウに手を差し出した。
これがこの学校生活始まりのキッカケ。
9月1日、早朝。
本来のなら小学校の2学期を送るべく準備をしている頃。
はトランクに荷物を詰め込んでいた。
重たい荷物を引きずって下に下りると母親と父親がにまぁっとしてを待っていた。
「おはよ、」
「おはよう母さん、父さん。」
「おはよう」
あの日ブランに渡された入学許可証を両親に見せたところ、開口一番に母の口から出てきた言葉は、
思いもがけず、「行ってみれば?」だったのだ。
は開いた口がふさがらなかった。
しかしその後、父までもが「いい機会だから行ってみればいい」とまで言い出す程だった。
説得しようと用意していた言葉をすべて飲み込んで、は顔を引きつらせた。
反対されると思ってたのに。
そう両親に言えば、両親は2人して「なんで?」と。
どういう学校か知っているのかと問えば知らないと即答されたけど。
なんて適当な親だろうか。
だけどまぁそれのおかげであっさりと入学が決まったわけで。
中学入試とかもすっ飛ばして学校が決まるなんて最高!・・・と。
はブランを待ちながら優雅に朝食をとりつつ、思った。
「、頑張ってこいよ!」
「うん。魔法とか、ホント楽しみ。」
「これでサギだったら笑うわよね」
父の言葉に元気に返答しただったが、その後の母の言葉には固まった。
今更それは無いだろう。
そう思った直後、玄関の扉が(鍵が掛かっていたのに)バタンと開いた。
そしてそこから真っ白なフクロウ・・・――――――ブランがやって来たのだ。
流石に両親も驚く。
は笑顔でトランクを立てて押しながら玄関に向かった。
「じゃ、行って来ます!」
「行ってらっしゃい」
「い、行ってらっしゃい」
気をつけてね!と言うのにしっかりと笑顔で返してはブランについて行った。
そう、あたしはフクロウに連れられて、新しい世界への第一歩を踏み出したんだ。
いつも通っている道なのにいつもと違う気がする。
トランクを押しながら、はブランに必死でついていく。
「ブラン、どこ行くのー・・・?」
そういえば知らなかった。
そうがいうのもお構いナシにブランはドンドン突き進んでいく。
少し疲れたな、と感じた頃、ブランはホーと鳴いた。
その声にブランがいるところを見るとそこは少し寂れた公園だった。
「・・・ハイ?」
の声が公園内に響く。
ブランは羽ばたいたままジャングルジムに突っ込んでいく。
が「危ない!」と言った瞬間その姿は辺りから消えてしまったのだ。
「嘘。ど、どこ行ったの?」
どこをどう見ても本で読むような異世界の扉のようなものなんて有りはしない。
は慌てて辺りを見渡した。
それでもブランはいないしどうしようもない。
「何しとるん?」
「うあっ!?」
途方にくれかけていたその時、後ろから声が聞こえた。
半泣きの状態でが振り返るとそこには金髪の少年と黒髪の人懐っこそうな少年がこっちを見ていた。
同じように少し大きめのトランクを持っている2人の少年達はを訝しげに見ている。
・・・と、金髪の少年がポンと手を叩いてに言った。
「ひょっとして、ホグワーツに行きたいんか?」
「そうですけど、えーと・・・?」
「僕らホグワーツの生徒なんや♪んでひょっとして行き方分からへんの?」
「はぁ、まぁ・・・?」
何か、うん。っていうかほら、何で?
何で東京なのに関西弁話してるの!?ココは東京ですよお兄さん!
そんな今時分が困っている事とはまったく関係の無い事をは心の中で叫んでいる。
が件名に自分の心と格闘していると、2人の少年はにまぁ、と笑った。
「えぇ!?」
金髪の少年はの手をとり、黒髪の少年がのトランクの取っ手を取ると、2人して目を輝かせた。
「え?え?」が周りをきょろきょろとしていると金髪の少年はそのままジャングルジムに向かって走り出した。
「ちょ、待っ、ぶつかるから!?」
「大丈夫やてv」
「大丈夫じゃない―――――――――!!」
がぶつかる!と目を瞑ったその瞬間。
3人の体と3つのトランクはジャングルジムの手前で捩れた空間に吸い込まれた。
道を突っ走ってみようと思う。
どこまで走れるのか知らないけどいけるところまで。
走って、走って。
他の人と違う事が出来たらいいな。
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