あ、あれ?あたし、どうなったんだろう?
確かにジャングルジムにぶつかって、ぶつかって、えー・・・と?
































がパチと目を開けるとそこに広がっていたのはいわゆるホームだった。


「ど、どこ?」
「どこて・・・ホームやんなぁ?」
「9と3/4番線や。」


ホンの少しの衝撃もなしについたその場所に、はパチクリと目を瞬かせた。
金髪の少年は「ホラ見てみ?」と上のほうに掛かっている看板を指差した。
そこには確かに、9の隣に3/4と分かりやすく書いてある。
はそれをみて、はぁ〜と大げさに安心したと言うリアクションをして見せた。
それに2人の関西少年は苦笑する。


「で、ここからどうやって行くんですか?」
「・・・嬢ちゃん説明書読んだか?」
「だって・・・。ここに書いてあるのは一言だけですよ?『ブランに聞け』分かるわけ無いじゃない!」
「はぁ?またすごい手紙もろたな〜」
「ホントですよ!ったく。ブランもいない・・・しっ!?」


の言葉が途中で途切れた。
後ろからブランがに強烈な体当たりを食らわせたからである。
・・・体当たりと言うよりは突いたと言う方が正しいかもしれない。
とにかく、ブランはそのくちばしをの頭にぶつけた。
金髪の少年と黒髪の少年が目を丸くしてその様子を見る。
がその場にうずくまって数秒。
少年2人が恐る恐るに近付くと、はキッと上で飛んでいるフクロウを睨みつけて叫んだ。


「痛った・・・!!何すんのブランっ!!こらー!降りて来い―――――――ッ!!」
「な、えぇと、大丈夫なん?」


口元にほくろのある少年がそう言うとはゆるゆると首を横に振った。


「痛くて堪らないです・・・!!」
「そ、そらそうやろな。」


苦笑を浮かべて少年は旋回しているフクロウを見やった。
ブランと呼ばれているそのふくろうを見て(あぁあの嘴は痛そうや)と思うとの頭を見る。
運がいいことに血は出ていないようだ。
は頭をさすりながらうぅ、と涙目でブランから視線を外した。


「あ、そういえば、えっと・・・?」
「あぁ、自己紹介が遅れたな。俺は佐藤成樹。シゲでええよ。レイブンクローの・・・今年2年や。」
「そ。僕は吉田光徳。ノリックでええよ。君は?」
「あたしは。好きな呼び方でいいですよ。あたしは今年入学です。」


そう名乗るとの周りを飛び交っているブランが鳴くのを聞くと、は少し顔を膨らませながら言った。


「こいつはブランです。ホグワーツから送られてきた使者みたいな感じですかね・・・!!」
んとこのはなんや綺麗な白色やな。ブランっちゅうんか。俺んトコはノワールちゅうのがおるで。」


佐藤、もといシゲはうんうんと頷くとふくろうの世話は大変やんなぁと頷いた。
もそうですよね・・・!と目を輝かせてシゲを見ていかにフクロウが主人を裏切るかを語り始めた。
そんなことばかり言っているから裏切られる(というよりどつかれる)のではないかと吉田は思っているのだが。
はたから見ると2人はとても仲が良さそうで、まさか今日はじめてあった人物同士だとは思いもよらないだろう。
楽しそうに見ながら辺りを見渡す。
辺りには同じように色々なところから来たであろう同い年くらいの生徒がトランクを持って集まり始めていた。


「ところで、ここで電車に乗るんですよね?」
「そうやな。もうじき現れると思うけどなぁ・・・」
「それはそうと、おらんのとちゃう?」
「あぁ・・・やっぱ来いへんかったか・・・っと。まぁ見ててみ?」
「え?うん、じゃない、はい。」
「別に敬語いらんよ?」
「そーゆーわけにも」
「なぁ藤村?」
「ああ。気にせぇへんよ?俺はシゲで、こっちはノリック。そんでお前は!」
「わかった!いやーかたっくるしいの好きじゃなかったんだよね!よろしくっ」
「「ぷ」」


はトランクを受け取るとそれに体を預ける形になりながらころっと話し方を変えた。
なんとなく。そう、何となくなのだがこの2人は先輩という気がしなくて敬語が使いにくかったのだ。
普通の人なら敬語使えるのにな、とは1人ごちながら爆笑しているシゲとノリックを見る。
何がそんなに面白かったのかいまいち掴めずにはヒマそうに、そしてやっと。
辺りを見渡してその人数に驚いた


「わ。結構人少ないんですね!・・・えぇっ!?」


・・・のもつかの間。
次の瞬間何も無かった線路上に突然現れたキラキラとした粉に心を奪われた。


「わぁ・・・っ!」


その金色に輝く粉は暫くするとクルクルと宙で竜巻のような形になり、ぽんっという軽く弾けた音と共に。


「派手な登場やな」
「ホンマやー僕とはえらい違いや」
「や、すごいじゃないですかー!汽車ですよ、汽車っ!!」


子供のようにはしゃぐを見て2人は呆れたように、そして楽しそうにまた笑う。
何とはなしにまた敬語に戻っているのだ。
そんなこととも知らずに、はコレも魔法?とあたりをキョロキョロと見回っていた。
幸いな事に辺りにいた人たちも同じような反応の生徒が多かったので特に目立つ事は無かったが。
中から青年になったばかりと言うような男が出てきた。
その男はんん、と大きく伸びをすると「うっしゃ!」と気合を入れた。
その後でニカッと笑って大きな声(本人にとっては普通なのかもしれないが)で叫んだ。


「今から20分後!ホグワーツ魔法魔術学校日本校へ出発するっ!行きたいやつは乗ってくれな!」


その声に、2,3秒放心状態だった生徒がばたばたと汽車に乗り込みだした。
中はとても広く、6,8人ほどで一部屋使えるような仕組みになっている。
1車両につき6部屋あって、それが7車両。計42部屋あるのだが。
それほどまでに人がいるかと言えば・・・それはなんともいえない。
しかしその広い部屋の一つ一つは綺麗に掃除されていて、誰が座るにも問題はなさそうだ。
殆どの生徒が乗ってしまった後、とシゲ、ノリックも列車に足を踏み入れた。
乗る前に先ほどの男の人にトランクを預けてしまったので手持ち無沙汰。
ガラガラのコンパートメントに3人で乗ると、はポケットに入れていたキャンディをだした。


「食べますー?」
「いるいる!そのキャンディ好きや!」
「俺も貰おかな」


コロン、とカラフルなビンの中からまず吉田の手に1つ。
シゲの手にも1つ。そして自分用に1つ出してはビンの底を見た。
ノリックの手に乗ってるのは・・・赤。シゲが緑。自分は黄色。
それを覚えてつっと視線を移動させる。
ぱくっとキャンディを口に放った吉田が興味深げにを見た。
はえぇと、と指で文字をなぞりながらそれを読み上げる。


「赤、は。今日の運勢大吉!手帳に予定を書くと◎!で、緑は吉。動物に優しくするといいことが。
 黄色の私は小吉で、良い事をすると良い事が返って来るでしょう、だそうです」
「さっすが僕!大吉なんて日ごろの行いがええ証拠や!」
「動物ってノワールに優しくせぇってか。・・・無理かもしれへんなぁ」
「何で?」
「ノワールやで!?大変な事になってまうやろ!俺がっ!!」
「あはははは!」
「ノリックは手帳持ってるの?」
「あらへんよー、僕は大吉いうだけで最高や」


にっこりと笑ったノリックには一瞬見とれた。
それをシゲにからかわれて尚更顔を赤くしてはポカポカと叩いて返す。
それにノリックは指を指して爆笑した。
そんな風に、キャンディの占いで盛り上がっていると時間が迫ってきた。
ピリリリリリリと甲高い音が聞こえてきて扉がプシュウと閉まる。
ゴトンゴトンと揺れ始めた列車に、はぱあぁと顔を輝かせた。
さぁ、いよいよ魔法学校だ。









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