「女の子はっけーん!!」
「うわぁっ!?」
後ろからのタックルに、はそのまま前に倒れそうになる。
それを支えたのは・・・。
「藤代!相変わらず落ち着きが無いな・・・」
「渋沢キャプ!」
先ほどのオレンジがかった髪の少年。
会話から言って彼が“渋沢キャプ”だろう。
そして自分にのっかかってる人は“藤代”か。
は前後に挟まれた状態になって、顔を赤くしながらなるべく冷静にそこまでを判断する。
そして動くにも動けず、困っているとそこに助け舟が入った。
「誠二!いい加減に降りないと迷惑だろ!?」
「タク!」
猫目の少年がの上の少年を引っぺがした。
やっと顔が見える状態になり、ほっと息をつく。
引っぺがされた少年が「ごめん」といいつつにはっと笑うのにつられて、も仕方ないなぁ、と笑った。
「俺は藤代誠二。誠二って呼んで!」
「俺は笠井竹巳。呼び方は何でもいいけど誠二にはタクって呼ばれてる。これからよろしく。」
「あたしは。でいいよ。誠二、タク、よろしくね。」
泣き黒子のいきなりタックルかましてきた少年は藤代誠二、猫目の少年は笠井竹巳と名乗った。
先ほどの騒動から1段落着いて、さっきの渋沢キャプが手際よく指示してくれたので席について大人しくなってるのである。
「でも女のコいる寮でホント良かったー!いなかったら寂しいし、ねぇタク?」
「レイブンクロー以外ならいるって三上先輩が言ってただろ。」
「レイブンクローには女の子いないの?」
「うん。俺たちここに知ってる先輩達がいてその人たちに聞いたんだけど、そうらしい。」
「そうなんだー・・・あ、三上先輩って?」
「、だめだって!三上先輩には近付かない方がいいって!」
「なんで?」
「三上先輩女の子とあらば誰にでも・・・」
「そんなあいつは私の彼氏よ。藤代クン。」
フクロウを片手に、藤代の正面に座っている相坂紅留は微笑を浮かべてそう言った。
それに藤代のみならず笠井までもが驚く。
「「ええええぇぇぇ!!??」」
「そんなに驚くことなの?・・・その、紅留さんが三上センパイの彼女ってこと。」
「おどっ、驚くって!三上先輩の彼女って・・・センパイ大丈夫ッスか?」
「あら、三上が心配?」
「違うっスよー!」
「タク、その人どんな人なの?」
「三上先輩はさっきの・・・ほら、あの渋沢先輩の親友とも呼べる人で誠二曰く女タラシ。」
「・・・すっごく分かりやすい説明をどうも。」
苦笑いを浮かべて、遠くを見る笠井に、は前を向いた。
(きっとタクは苦労人なんだよね、うん!)
と、その時丁度グリフィンドールに新しい仲間が入った。
とことこと来る自分と身長が同じくらいの少年、彼との視線が合った。
そして同時に何故か頭を下げる。
「えぇ・・・と。はじめまして。」
「あ、は、はじめまして。」
「「・・・・・・・・・・・」」
(は、話が・・・!)
「あ、風祭じゃん!」
「藤代くん!」
「知り合い?」
「クィディッチの新ルール説明会であったんだよ、面白いヤツでさ〜」
「新ルールって誠二・・・」
「タク知らない?」
「あたしその前にクィディッチ知らない・・・」
の一言にその場が固まる。
そしてクィディッチの説明が始まった。
藤代と風祭が持ちつ持たれつ説明をしているのを聞いてたまに笠井が補助に加わる。
その様子を紅留が笑顔で見ていた。
そして、来訪者に少し驚いた顔を見せる。
「有希、遥青。久しぶりね。」
「紅留先輩!」
「お久しぶりです紅留さん。」
2人の少女がテーブルに加わった。
彼らが盛り上がっている間にグリフィンドールに呼ばれたようだ。
「あ、新ルール説明会にいた2人ですね!」
「そうよ。風祭だったよね、何してるの?」
「えっと、彼女がクィディッチを知らないそうで説明してるんです。」
「クィデッチを知らない!?私も加わるわ!」
「もっとゆっくり説明してよー!」
「だからシーカーってのはァ!」
「賑やかですね。」
「そうね、でもまぁグリフィンドールだしこんなもんでしょ、遥青。」
「まぁ・・・それにしても笠井くんはまた誠二君と同じチームですか、保護者決定ですね。」
「今度は渋沢先輩もいるしもう少し落ち着けばいいけど・・・何より気になるのは」
笠井はそこまで言って言葉を区切った。
もはや組み分けなど微塵も気にしてやいないグループに目を向けて溜息をつく。
そこでは2人の女子と4人の男子・・・つまり先程よりも多い人数の生徒が固まって話をしている。
遥青と紅留がそれを見ると笠井は苦笑いを浮かべた。
「名前も知らないのに良く話していられるな、と」
「・・・・そうですね。誠二君はともかく有希じゃない方の女の子は殆ど名前知らないでしょうね」
「よーするにシーカーがスニッチってやつを取ると150点とってGAME終了?」
「そうそう。やっと理解したわね」
「うう・・・だってみんないっせいに話すからわかんないんだよ!」
「あははははは!!」
彼らのに対する講義が終わったのとほぼ同時に、西園寺が手をパンパンと鳴らす。
それと同時に騒がしかったこの部屋が一気に静まり返った。
では校長先生のお話にうつりたいと思います。
という言葉で偉そうな、・・・ハゲている人物が前に出てきた。
何かを話してはいるがそれはの耳には入っていない。
先程聞いたクィディッチの話でドキドキしているのだ。
(そんな面白いスポーツがあるんだ・・・!)
先ほどの自分以外の5人はみんなクィディッチを知っていたらしい。
は上機嫌でルールを心の中で復唱していた。
そのうちまた手が鳴って西園寺が口を開く。
「では寮に案内します!グリフィンドールは私。
レイブンクローは松下先生、スリザリンは榊先生が寮監督です。各先生の指示に従って動いてください!」
その言葉に従って、寮ごとに動き出す。
グリフィンドールの生徒は立ち上がると西園寺の後について大広間を後にした。
「・・・・・・・ねぇ誠二。」
「何?」
「周りのうっすら青い人たちってさ、微妙に透けてる人たちってさ。」
「ユーレイ」
「だよねぇ・・・・・・うぅ・・・・」
「何?怖い?俺の胸に飛び込んでくる?」
「冗談も程ほどに。」
周りの幽霊にびくびくしつつ、は他の装飾品を見て回る。
絵が動いたりして楽しいは楽しいのだが、幽霊だけはちょっと怖い。
首が取れかけている霊だとか足が無いのとか、地面に足がついてないのにぺたぺた足音がしているのだとか。
それでも、
(楽しいって言うか、すごいなって思うのに変わりは無いんだよねー)
にこにこと笑いながら先に進むが前方不注意なのは良くある事で。
「うわっ」
「えぁっ!?」
「ご、ごめんなさい」
「あたたっ・・・いや、こっちこそ・・・あ、さっきの。」
お互いに歩行速度が合わなかったからかは前の人の背中に突っ込んだ。
ぼふ、と当たってはしりもちをつく。
見上げたその先には風祭が立っていた。
「えーと、確か風祭くん、だっけ。」
「うん。確か・・・さん?」
「自己紹介したっけ。」
「藤代くんが呼んでたから・・・」
「なるほど!ねぇ私のことはでいいから風祭くんの下の名前教えてよ」
「ぼ、僕は風祭将。」
「ショウ、か良い名前だね。よろしく!」
「よろし・・・」
「ところでコレすごいよねー、何で絵が動くの!?」
「そう!僕もそう思ってたんだよ不思議だよね・・・あ。早く行かないと置いてかれる!」
「うわ、急ごっ!!」
パタパタと走って前の列に追いつこうと走る2人を見て、壁の絵たちが笑った。
「最初からあんまり驚かせたら可哀想だモノね。」
「そうね、そうね。徐々に驚かせましょう」
ふふ、と双子の壁の絵が笑った。
この場所はまだまだの知らない事ばかり。
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