突然ですが皆様。
魔法って信じます?
実はそう言うのって本当にあるんですよ、だってうちの母上はですね。


「アロホモラ!」


戸の向こう側からそんな声が聞こえて数秒。
ガチャリとドアを開けて若々しい女性が部屋に入ってきた。
一直線に向かうのはベッド。
片手に短い棒のようなものを持った女性はそれを振り上げた口を開いた。
それはそれは至極楽しそうな表情で。


「やめろよ・・・」


・・・その瞬間に布団をばさりとめくり上げて起き上がった人物は不機嫌極まりない顔で女性を見上げた。

























「だって、起きないでしょう?」
「起きないからってこっちで魔法使うなって何回も言われてんじゃねーの?いい加減止めろよな。」


やぁね、とポーズ付きでそう言ったのは先ほどの女性。
2人ともリビングでコーヒーを飲みながら会話をしている。
1人は至極楽しそうな顔で、そしてもう1人は至極不機嫌そうな顔で。


「っつか。何で休日なのに寝かせてくれねー訳?いつもは起こさねーじゃん」
「あ、そうそう。忘れてたわ。手紙がきてたのよ」
「手紙ィ?」


そんなことで起こすなよ、と呟きながらコーヒーを一口口に含む。
自分の短い髪が軽く揺れる。
昨日染めたばかりの明るい橙の髪が目に付く。
これを簡単に承諾する(むしろ薦める)母親ってそう居ないと思う。
まぁどうせうちの母親は普通なんかじゃねーけどさ。
ぴ、と開くとそこから出てきたのは紙切れ。
当たり前だけど。


「・・・なんでそんな注目してんの?」
「ううんー?どんな反応するのかな?と思って。」
「どんな反応も何も」


”はその言葉を飲み込む。
なんだこれ。
と、そう叫ばなかったのを本気で褒めたいと思う。
こんな朝も早くから隣人さんに迷惑をかけなくて良かったと・・・


「なんだこれ―――――――――――!?」


・・・思えなかった。


























「やぁね。いつもの如くドッキリ・・・」
「なのかよ・・・」
「じゃ無い事は確かじゃない」


ぱあぁぁぁ、と花の咲くような笑顔でそう言った自身の母親に、“”は頭を抱えた。
それもその筈。
”が開いたその手紙からは白い煙がもくもくと立ち昇り、カラフルな紙吹雪が舞い散っているのだ。
これで驚かないヤツがいるだろうか。いたら・・・はったおしてやりてぇよ!!
そんな事を思い、その手紙をそのまま捨てようとすると、今度はその手紙が光始めた。


「・・・・・・・・」
「・・・もはや言葉も無い、と?」
「・・・・・・・・いい加減説明して・・・」


がガックリと項垂れたとき、2階の階段のほうからばたなたと音がして、1人の少女が降りてきた。
少女はよりも少し長い暗めの髪を縛って、茶色の封筒を持っている。
その少女は疲れ果てたの姿を見ると2人の間に割って入った。


!またお母さんに遊ばれてるの!?・・・て、それはニセの手紙ー!!本物はこっち!お母さん頼むからを疲れさせないでー!」
「おー、我が愛しの妹よ・・・救世主よ・・・」
が壊れたー!!」


わぁん、と泣きつく妹にはぱっと顔を上げると手紙貰うからね、と言ってそれを開封した。
何が入ってるの?と覗き込む妹(と言っても1日違い)にさぁ?と言いながら紙を開く。
丁寧に折られていたそれを開くと、そこには英文で文章が書かれていた。


「試してんのか・・・?あーっと・・・?ホグワーツ、・・・入学、許可・・・?」


怪訝そうに母親に目を向けると、その瞳は好奇に満ちていた。
そうかそうか、そこまで俺を困らせたいか!
はそれをもう1度見直す。どうにも英語は苦手なんだけど、と妹に視線を移すと、彼女はすらすらとそれを読み上げた。


「『さま。貴女はホグワーツ魔法魔術学校日本校に入学する資格があります。
 入学の意思があるならばこの書類にサインをしてください』・・・かな。多分そんな感じだよ。」


にこっ、と少女はに向かって笑む。
はそれに笑顔で返すと左手にペンを握った。


「かーさん。」
「行ってらっしゃい!」
「まだ何も言ってねぇし!!」
「行くんじゃないの?・・・探したいんでしょ?」
「うん、行くよ。んじゃ、家の事は任せた!」


『探したいんでしょ』の一言に、は力強く頷いた。
それにサラサラとサインした直後、そこにフワリと黒装束の女性が現れる。
それにさして驚きもせずはその様子を見つめていた。
女性の「驚かせてごめんなさいね」との言葉に首を振ると、流石魔法!と握りこぶしを作る。
女性はそれに逆に驚いた顔を見せたが、それを崩すと宙に浮いた足を静かに着地させた。


「私は西園寺玲。ホグワーツ日本校の副校長を務めています。改めて聞くわね?」
「ハイ」
さん。入校の意思はありますか?」


その言葉にはにっこり笑って即答した。


「もちろん!」


それは1つの決意と楽しみと、そして何より願いのために。
、ホグワーツ魔法魔術学校日本校に入学希望!!





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