問題などないように、が笑んだ。
「フィニート・インカンターテム、呪文よ終われ!」
「え?」
パシュン、とそれが何事も無かったかのように無くなる。
それを見た店主は懐から手を抜いた。
一馬が焦ったように英士を止めに入る。
英士が驚いたように杖と自分の手を見て、それにが声をかけた。
・・・先ほどまでとは打って変わって地の、“女の子”の声で。
「ねぇオリバンダーさん、彼はこれで良いんじゃない?」
「そうじゃな。君はその杖が1番合っておるだろう。無意識のうちと言うのは1番合う杖が取れるからな。」
「そう・・・なんですか。」
「お嬢さん、協力ありがとうございます。」
「いーえ、でもこの方法は1人しかできなくて困るね。」
「、まさか・・・騙した?」
「うん。英士って意外にアツくなるタイプなんだね?」
英士は拍子抜けした顔で何故か感心しているの顔を見た。
は悪戯小僧のように笑うと近くの椅子に腰掛ける。
ぽかーんとした顔で立ち尽くしてい3人を横目で見ると、英士は軽く笑って。
「、お茶でも貰おうか?」
「そうだね。いい?オリバンダーさん。」
「えぇ、どうぞ」
隣に腰掛けると優雅にお茶を飲み始めた。
オリバンダー店主はやんわりと微笑むと捺と結人に箱を差し出した。
一馬は持っていた杖を振ってすぐにOKが出たのでホッとした様子だ。
そんな彼らの杖が決まるのはこの30分後。
レンガが敷き詰められた道を歩きながら結人が言った。
「それにしても焦ったって!英士もさー、杖は人に向けて振るなって言われたのにあっさりと破るし。」
「英士が簡単に規則を破るなんて珍しいって言うか・・・・」
「そうだね、それには俺も驚いたよ。危うくにケガさせるところだったしね。ごめん。」
「気にしなくて良いよ。こっちが仕掛けたんだからさ。ね、捺。」
「何であたしに言うかなー・・・でも危ないのは事実だし、ホントビックリしたんだからね!?
・・・あ、ところでなんであの杖から風が出てきたの?あたしたちのはみんな反応が違ったけど・・・・・。」
捺の問いかけに一馬がそれは、と声を上げた。
「さっきのは英士の潜在能力なんだ。杖を選ぶときに始めて振るとそれはその人の潜在能力を示すから・・・。」
「・・・つまり、あの『風』が英士の潜在能力って事?」
「風っているよりも、英士はあれだけの力があって、あれだけの事が出来るってこと。」
「潜在能力って言うよりは、チカラだよな。基本的にどんなタイプに向いてるかも分かるらしいぜ?」
「ふーん・・・あ、次どこ行くの?英士。」
「そうだね、次は本屋がいいかな、?」
「んー・・・結人たちはどう思う?」
「本屋かーそこは注文で済ましてさっさと別のとこいかねぇ?」
「別のトコって?」
一馬の疑問に、結人はにまぁっと笑いを見せた。
それに捺が気がつく。
「「箒屋!」」
英士が溜息をつき、一馬が納得し、は。
「行くっ!んじゃ、ちゃっちゃと本屋行って終わらせよう!ほら、早く早く!むしろ速く!」
「急ぎすぎだ、ッ!」
「はーしーるーなーっ!」
「ちょ、結人っ、捺っ、っ?え、英士・・・」
「・・・仕方ないでしょ。行くよ一馬。」
たたたっと走っている。
まだ後ろの結人とは差があるなーと笑った後で、前を向いて足をとめた。
「あれ・・・?」
黒髪に2つ縛りで赤と黄色のネクタイ。
(グリフィンドールのコだよね?どこに行くって・・・)
きょろ、と辺りを見渡しながら進む方向を見て、思わず走り出しそうになる。
ほんの少し横道にそれていくその道を、自分は知っているから。
彼女がその方向に向かって走り出した。
それを見て手を伸ばしかける。
どうして今さっきまで全速力で走ってきたのかと顔を歪めて。
・・・と、不意にその手を掴む少年がいた。
「そっちは・・・・・」
「そっちに女の子が行ったんだね?」
「あんた誰?」
「藤代誠二。そんな事より、あっち?」
「そう。グリフィンドールの子が向こうに、だから行かないと」
「!?」
「結人!なぁ、俺の記憶が間違ってなかったら向こうはノクターンだよな?」
「そうだけど、向こうには危ないから行かない方がいいと思うけど、って藤代?の手をいつまでも握ってるんじゃねーよー!」
「あ、ごめんごめん!じゃ、ありがと。追ってこなくて良いからねー!」
ぴゅん、と走っていく泣き黒子の藤代少年を見やって俺は溜息をついた。
俺・・・違う違う。『わたし』だった。
大丈夫かな、藤代少年は。
「っつか足速いなー、追いつかなかったしさ。」
「まぁね。ところでさっきの藤代少年は・・・・藤代少年・・・?クィディッチ上手い人?」
「そうそう。あいつならノクターン横丁も平気だと思うけど?」
「ならいいけど。ところで一馬と捺と英士は?」
「すぐ来るってー、俺何気に足速いからさっ」
至極たのしそうに結人が笑うと、は口の端を上げてニヤリと笑った。
「わたしとどっちが速いかねぇ?」
「俺」
「わたし」
「・・・や、俺だろー」
「・・・・・・いやいやいや、冗談きついよー?」
「何してるの結人。も。早く本屋行くよ?」
「「英士」」
のイントネーションにはいたの?と、結人のイントネーションには来ちまった、という響きが含まれていた。
一馬は少し汚れたローブをはたくとげんなりと溜息をつく。
「ねぇ、本屋ここじゃん。入るよ?」
「あれ?ここだったっけ。」
「指定図書って書いてあるし・・・買えるよ。」
「そうだね・・・?」
「どうしたの?捺。」
「何でもないよ。さっさと買おう!」
ぱしーんとの背中をはたくと、捺はすたすたと店内へ足を踏み入れた。
「ったー・・・!何するかなー・・・」
今度はやりかえしてやる・・・っ!
そんな思いを胸に秘め、も中に入って予約を始めた。
「箒――――――――っ!」
「これこれ、これ新しいんだって!」
「クリーンスィープ5、これ知ってる!」
「ニンバス2000かー・・・いいなー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう少し落ち着いたら?」
箒屋に着いて早々、俺は呆れて溜息をつく。
をはじめとして、結人、捺、一馬。
みんなして店の中で騒ぐもんだからどうしようもない。
周りの客が見ているって言うのに気にしないのだろうか、とも思う。
本屋はその店の主人が驚くほど早く予約を済ませ、即日配達を頼んだ。
今日の夜には寮に届けられているだろう。
「ねぇ英士、やっぱり箒は性能がいい方が良いものなの?」
「そうとも言えないんじゃないかな。やっぱり性能が良くても相性もあるしね。
それに結局は使い手が下手だと意味が無いんじゃないかとも俺は思うよ?捺が同取るかは自由だけどね。」
「そっか、そうだよね!」
「何、箒買うの?」
「ううん。箒って自由購買でしょ?だから昔から使ってるなれたので良いやって思ってさ。」
「あぁ、それで・・・。結人たちはどうするって?」
「は知らないけど結人たちは昔のままにするって。お金ないから。」
「すぐに変なものに使うからね。あの2人。」
30分もすれば自然と静かにもなってくる。
少し落ち着くと、捺の質問を聞き、苦笑する。
は買うのか知らないけどもうすぐ時間が来るんだよな・・・。
分かってるといいんだけど。
「英士!すぐ買っていくから待ってて!」
「分かった。1階にいるよ。」
階段の上からがこっちを見下ろすようにして言う。
下の階のオーダーメイドの部品を見ながらそれに答えると、すぐに引っ込んでいった。
2,3分して降りてくる3人に、何の箒を買ったのか聞くと意外にもコメット260号だった。
まぁ、悪くは無いけどパッとしないというか。
はもっと変わったのが好きそうな感じがしたのだけど。
「これ?わたしのじゃないよー。頼まれ物。わたしだったらおよそ普通の人が使わないものにするし」
・・・・・・・・やっぱりね。
「やべ、英士!もうすぐ集合!」
「急ぐよ結人!」
「ちょ、待ってよ2人とも!」
「ほら、一馬も早く!」
「わ、分かってるよ!」
レンガどおりの道を吹き抜ける風が、妙に心地よかった。
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