「くぁ・・・」
「眠そうじゃん、。」
「まぁね。昨日ちょっと・・・」
「抜け出したりするから。まぁいいけど今日買い物なんだからしっかりね!」
「わぁってるよ」
「ふぁぁあぁ・・・っ」
「結人眠そうだな。」
「と抜け出してどこか行って、寝不足なんでしょ。探してたこっちの身にもなってほしいね。」
昨日の夜。
結人が見たその光景はすごい数の星。
ドアをあけるとそこは隠し部屋のようなところになっていて、そこで話をしていたのだ。
彼女にとっての『内緒』の話を。
「あ、おはよ。」
「はよー」
階段を降りて談話室へ行くとそこにはもう結人たちが揃っていた。
制服を着て準備完了といった感じだ。
他の2年生、1年生も少しづつ集まり始めている。
は空いている椅子に座ると目を瞑って寝る体勢に入った。
「あぁ!?!だから寝ちゃダメだっつってんじゃん!起きろーっ!」
「!お前だけ寝るなんてずりぃぞ!?俺も寝る!」
「ゆ、結人違う!寝ちゃだめだって!英士・・・」
「や、はともかく3人が周りの迷惑だから。」
朝も早くから大声出して、と英士が付け足すと、一馬は慌ててその口を噤んだ。
そして結人と捺に声を抑えるように止めに入る。
を起こせば済む話なのだがいかんせん一馬なのでそれができない。
はまだ誰にも言ってはいないが寝起きが悪い。
とことん悪い。
先日あったように人の名前すら思い出せない始末である。
そんな彼女を起こそうものならそれこそ英士並に怖いのであろう。
「なぁ郭、もう少し声どうにかならないか?」
「伊賀・・・あぁそのうちなるんじゃない?」
「いや、そうじゃなくて。・・・はまだ寝て?」
「そう。このままだと遅れるね。潤もまだ来てないみたいだけど・・・・」
何をやっているんだ、我が従兄弟は。
そんな風に取れんばかりに溜息をつく英士。
もうこれは一馬や結人の事を放っておくと決めたようである。
「郭、そろそろ行くけんそいつらどうにかせろ。」
「・・・なんで俺が。」
「李くんが言ってましたから。そこを止められるのは郭君だろうと。」
「・・・分かったよ。」
功刀と須釜に言われて英士はしぶしぶ頷いた。
溜息をつくとの肩を軽く揺らす。
・・・結人にはわき目も触れずに。
「」
「・・・・・・・・・・・むぅ・・・・・」
「・・・箒、見に行くんじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・むー・・・・」
「箒。目当てのがあるんじゃなかった?」
「むー・・・そうだった・・・。オハヨウ英士。・・・捺もオハヨ。結人・・・オヤスミ。」
「、物で起きるの?あんたは・・・」
「知らないー・・・。もう時間?」
「そう。」
寝ている結人を一馬が必死になって起こしている間に、寮長がキラキラした笑顔で談話室へと舞い込んできた。
英士にしてみれば、すがすがしすぎて憎いほどの笑顔で。
から見れば・・・。
「・・・・・・・・・・・誰だっけ」
「寮長の潤慶サンだって!英士の従兄弟の!」
「・・・・・・・・・・・そうだっけ・・・?ユン・・・そうか。うん。」
「そうだっけですまされちゃうユンさんが可哀想だよ・・・!」
やはり寝起きでは誰だか分からないようである。
「じゃ、榊さんのところ行こうかな。皆揃ったね?ついてきてー。」
確認もせずに、それを核心に変えた我が従兄弟を見て俺は溜息をついた。
結人は起きてきて欠伸をしながら付いてきている。
一馬はそれを心配そうに見ている。別に結人なんだから放っておいても大丈夫なのに。
は少しづつ眠気も覚めてきているみたいだし・・・。
捺は言うまでも無い。
『グリフィンドールとレイブンクローに同じ顔の人がいるの』
そんな事を話してきたのは昨日の事で、少し気になるだけ何だとは言ってはいたが。
(何だろう)
それを聞いてからというもの、何故か少しだけ。
(気にかかるんだよね。何か、ありそうな気がするんだけど)
ふ、と息をつくと従兄弟の指示するように木製のドアの前に立った。
「じゃ、みんな行くよー」
「気をつけてな。」
「はい!榊さん!じゃ。行って来ますねー」
ぞろぞろと歩いて入っていくドアを横目に、英士は周りのものを目の端に捕らえた。
たくさんの本がきっちりと並んでいる。
いつのまにやら榊先生とやらの授業部屋に来ていたらしい。
周りにあるのは呪文学の本だ。
ずらりと並んだそれを見つつドアを通ると、そこは見た事のある町並みだった。
「ダイアゴン横丁じゃん。」
「ホントだ。」
「何?みんな知ってるの?」
「俺も知ってるよ、じゃあここイギリス?」
「そういう事になるね。魔法でもかけてあるみたいだ。周りの字が読めるから。」
英士がついた落ち着いた様子で解説すると結人が軽くそれを肯定する。
足場はレンガで作られていて、周りの店もやはり日本のそれとは違う。
はくるりと周りを見渡すと笑顔を見せた。
(よし。ここなら分かる)
それに気が付いた捺は何、この辺知ってるの?と問いを投げかける。
は頷いて、「ここは母さんに連れられてきた事もあったからね。知り合いも多い。」と答えた。
「どうする?何から買う?」
「本は重いから後にした方がいいと思う。」
「だね・・・と、なるとー・・・いるのは杖?」
「杖だったらオリバンダーさんだね」
「どこだったっけ?」
「あっちだよ」
地図を取り出そうとした一馬を制しては指を指した。
「着いて来て。」
と、と。軽く足を踏み出すと周りの店には脇目も振らずに自分の思い出だけを頼りには足を進めた。
結人たちはそれについていく。
自分たちは純血なのにそれよりもこの辺りを良く知っているなんてなかなか無いだろうと思ったのに。
そんな事を一馬が考えているとも知らずには足をとめた。
「ここだろ?」
そこには確かに『オリバンダーの店』と書かれた看板がかかっていた。
はほっと胸をなでおろす。
(殆どノリだったけど・・・覚えてるもんだね母さん)
看板を見上げて、懐に手を忍ばせた。
「入ろうよ」
カランコロンという可愛い音がしてその店に4人が入る。
分かった、と言っても足を踏み入れた。
そこではお爺さんが笑顔で5人を迎え入れた。
「おや?えぇと・・・さんだったかな。お嬢さん。お元気ですかね?」
「まぁね。そんなことよりさ、今日は杖を買おうと思ってきたんだ。もちろん俺じゃなくてこっちの。」
軽く挨拶を交わしたに4人は驚きを隠せない。
もちろん、コロリと変えたの声にも。
「そうでしたか。ふむ、確かに素晴らしいセンスを持った方たちですね・・・えぇとあれはどこにあったか・・・」
「や、待って、待てよ。」
「何だよ結人。」
「なんで店主さんと知り合いなんだよ?」
「来たこと有るっていったじゃん。俺もう杖買ってるし・・・何?そんなに不思議?」
「不思議だね。はハーフなんだろ?そうそうここにこれるもんじゃないと思うけど。」
「・・・・・。まぁ、そのうちわかるっしょ。とりあえず杖選んだら?」
「そ、それもそうだって英士!ね?一馬も結人も。」
のニヤリ、というはたから見れば挑発するような笑みに英士はすっと目を細める。
それに明確に答えないに、また英士が口を開こうとしたとき、捺が割ってはいった。
オリバンダー店主はいくつかの箱を取り出してニコニコと笑顔を見せている。
この状況に何もしない考えなのだろう。
ついでに言えば懐には手を忍ばせている。
「捺・・・でも」
「なんなら。今勝負する?俺が勝つだろうけどね。」
反論しようとした英士に、はニッコリと左手に握られた杖の先を向けた。
それに、3人は息を飲む。
「受けてたとうか。その勝負。」
英士は迷うことなく、オリバンダー店主が並べた杖の箱の中から1本を取り出してそれをに向ける。
口元には薄く笑みを浮かべた彼に、がす、と表情を一変させる。
「『英士、何する気だよ』」
「一馬・・・?」
「なぁんてね。振りたかったら振りなよ」
くる、と振り返って一馬の方を向いた英士に、彼は慌てて首を振る。
『自分ではない』と。改めて前を向いた英士にペロリと舌を出すと、彼はキッと鋭い表情に変わってその杖を振り下ろした。
彼自身が意図したものではなくても風の刃のようなものがいくつもに向かう。
それを見た英士の顔がすぐに凍った。
(そんな、まさか。俺、何も唱えてなんて・・・)
「英士!」
「!」
結人と捺の叫び声があがった。
一馬が慌てて傍にあった杖に手をかける。
間に合わないと思いながらもそれを英士に向け、その手を止めた。
(、笑って・・・?)
オリバンダー店主も懐に手を入れたまま。
少し遊んでみたくなったんだよね。
そんな声がどこかで聞こえた気がした。
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