何となく、私を見る目が違う気がして。
何故だか、訳も無く、ただ、(あぁまた)と思った。
つばささんや柾輝くんとは違う別の視線が妙に異物を見るような目な気がして。
本当はそれが何なのか知りたくて
でも
知るのは少し怖くて
私はそこに立ち止まるだけの人間だった。
































「渋沢!」
「三上?どうしたんだ?・・・と、相坂さんか。」
「そ。紅留どこ行った?」
「相坂さんならあの女子の・・・三上?その子は?」
「ウチの寮の新入生」
「はじめまして!です。」
「はじめまして。俺はグリフィンドールの寮長の渋沢克朗だ。三上とはマグルの学校で一緒だったんだよ、よろしく。」


ほんわかとした笑みにもつられて笑顔を零した。
照れくさそうな、それでいて何かが抜け落ちているような、そんな表情。
渋沢はをまじまじと見ると少し考えたようにして女子の集まりに声をかけた。
相坂さん、と呼ぶと全体的に赤みがかっている短髪の少女が立ち上がった。
黒色のローブにその髪の毛が映える。
はその色を見てうわぁ、と声を上げた。


「綺麗・・・」
「あ、ありがとう。あれ?アナタ・・・」
「相坂さん。・・・―――――――――」
「分かったわ。三上、紹介して」
「偉そうだなおい。」
「偉いのよ」
「・・・こいつは相坂紅留。俺の彼女でグリフィンドールの副寮長を務めてる。
 んで、こっちは。レイブンクローの一年で椎名と知り合いだと。」
「はじめまして、紅留です」
「あ、は、はい。です。よろしくお願いします!」


ひそ、と渋沢さんが相坂さんに耳打ちをして相坂さんは後ろに目をやった。


「で?三上、ちゃんを私に見せて何のつもり?グリフィンドールにくれるの?」
「阿保か。」
「あら、じゃぁ・・・浮気するのの宣言でもしに来たの?」
「なお阿保だ。」
「まさかもうちゃんに乗り換えたって?」
「お前な。があたふたしてんぞ。」


(え、えぇぇ?私?私が悪いんですか?っていうか私はミカミ先輩に連れられて、あれ?)
があたふたとしながら2人を仰ぐように見ると、2人はプッと堪えていたのを我慢れなくなったかのように笑い出した。
渋沢はそんな2人を見て呆れ顔である。
・・・と後ろの方で1人の少女がを見て何かを言いかけたのを三上は笑いすぎで涙目になりながら見た。
そしてその隣に・・・――――――――――――


「・・・!?」
「ミカミさん?」
「・・・あ、イヤなんでもねぇよ。」


何故か、教えてはいけないと思った。


「ではそろそろお開きにしましょうか!」


副校長の声が聞こえた。
いやにタイミングがいいなとその姿を目の端に捕らえながら三上はの腕を掴んで走り出した。
は何事かと思いながら失礼しますと叫んでその足に従う。
何かを考えるような顔の三上にはただ黙っている事しか出来なかった。
三上も、紅留も、渋沢も思ったこと。それは。


























と同じ顔の生徒がいる。

























1人の少女が赤い液体の入ったグラスを眺めて呟いた。


「やっぱり、だめでしたか・・・」


その呟きを聞いた同じ寮の少年は何が?と彼女とは正反対の元気いっぱいの笑顔で問うた。
それに仮面を付け替えたかのような変わりようでなんでもないですよ?と少女が答えると、
そっか!と満足したように隣の少女と話し始める。
お開きにしようと言っているんだからとりあえず静かにしなよと自分の隣で声がした。
自分の上では、赤い旗がやけに揺らめいて見えた。























カチリ、と何かが閉まる音がした。


?三上?どうかしたの?」
「椎名」
「つばささん・・いえ、玲さんの合図がかかったので帰ってきただけですよ?」
「そう?ならいいけど。今から寮に戻るから付いて来いよ?」
「はい」


三上はその様子を見て何か違和感を感じた。
知ってるわけねぇだろ?だってあの時は見なかっただろ?
じゃ、なんであんな殊更に何かを隠すような言い方をするんだ。
そんな必要も無ければ、それをする理由が無いはず、だろう?じゃあ。

何かを、知っている?


!」
「淳くん、杳さん。」
「どこ行ってたんだよ、居なかったから探したんだぜ?」
「そうそう!柾輝とあたしと淳でね!」
「あはは、私はミカミさんとグリフィンドールにいたんですよ?」
「ミカミさん?」
「3年の先輩です。」
「どうりで見つからない訳だ・・・」


はは、と草臥れた様に笑う上原にごめんね、と謝りながらは苦笑いを浮かべた。
その表情には何も変わったところは感じられなくて、三上は気のせいかと首を振る。
(そうだよ、大体、双子か何かかもしれねぇだろ?)
その可能性はこじ付けのように思えながらも三上は深くまで追求する事を止めた。


「で、何で私を探してたんです?」
「聞きたいことがあったんだよ」
「そうそう、あのさ・・っと、後でにしようか。」


はそうですね、と言って前を向いた。
西園寺は全員が大人しくなった事を確認すると今度は寮監督生について寮に戻り、11時には就寝するようにと指示を出した。
それ以降に談話室が騒がしいようであれば減点するとも話した。
点数が年最後の寮の勝ち負けに関わってくる事は全員が知っていたので殆どの生徒が時計を確認した。
9時30分、といったところか。
寮生は自分たちの寮に戻ると、談話室で交流を始めた。
それはレイブンクローも同じで、お菓子を持ち寄ってわいわいと会話をしていた。
はふと1人の少年に目をやった。
テーブルの上にある水の入ったグラスを2つ取るとは階段よりのその場所へ足を進めた。


「ひとりですか?」
「・・・あぁ。」
「お話しません?私は1年のです。」
「・・・天城燎一だ。お前俺が怖くないのか?」
「怖い・・・?どうして?」
「目付きとか、俺は散々言われたからな。」
「はぁ、そうですか。でも別に目付きが怖くても燎一くんはいい人かも知れないじゃないですか。」
「あんた、変わってるな」
「よくいわれます。」


本当に、変わってる。
天城は少し表情を崩してを見た。
はその視線を真っ直ぐに捕らえるとへにゃんと笑った。
前のテーブルの方で杳がを大声で呼ぶ。
むぅ、と顔を顰めてはそんなに大きな声で呼ばないで下さいよ!と返すと天城を誘った。
天城はそれを断ると行って来ればいいだろ?とに言う。
は苦笑して分かりました、と杳の元へ駆けていった。
それを見て天城は口元を抑える。
(一瞬、行ってもいいかと思った・・・――――――)
手にしたグラスを下げて、天城は軽く溜息をついた。


、さっきの淳との話なんだけどさ」
「はい?」
はクィディッチやったことあるの?」
「クィディッチはないですよ。箒に乗るっていうのなら・・・ありますけど。」
「なんかね、今年の寮対抗のクィディッチの大会はチーム内に女子が1人以上居るのがルールなんだって!」
「じゃぁ、私か杳さんが?」
「そういうこと。ま、ならで決定ね!」
「そんなのまだ分からないじゃないですか?」
「いいの。だってあたし高所恐怖症だし。」
「・・・そう、でしたね」


はグラスの水を一口含むとクスッと笑んだ。杳もそれにつられて笑顔を見せた。
そこに上原と柾輝が来て先ほどの会話を話すと、柾輝はそうだな。とあっさり。
上原はもったいねー!と杳にクィディッチがいかに楽しいかを語りだした。
それを横目にが軽く上を見上げると柾輝が少し屈んでに何かを耳打ちした。
するとはあたりを見回して柾輝に信じられないと言うような顔を見せる。
柾輝が壁の絵を指差すとは軽く頷いてそこからこっそりと出て行った。
もうすぐ、11時になる。


(バレないように、って言うけど・・・)


疾風に道を開けてもらうと、は礼を言って走り出した。


(時間・・・寮監督なのに破っていいんでしょうか・・・)


辿り着いたところは学校の門を出て少ししたところ。
夏なのに少し冷えるその場所で、は辺りを見渡した。


「つばさ、さん・・・?」


呟いた声に、どこからとも無く聞こえた返事。
はその声の主を見て、ホッと息をついた。










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