おいおいおいおいおいおい・・・・・。
は周りを見て溜息をついた。
先ほどと位置が違う事から分かる。コレは魔法だ。
(母さんが魔法を使うときと同じ感じがした・・・移動系かな)
前方に大きなテーブルが3つと長椅子、そして。
(上級生、かな)
数名の生徒が私服のままその椅子に腰掛けていた。
クラス分けだね、と英士が呟くのを横で聞いてそうだなと答える。
周りは一緒に居た人もバラバラになったようで少しざわめきがあったけれど俺らのところではそうでもない。
どういうことだよ、と再び溜息をつく。何か仕組まれている気がしてならない。
前でキレーな女の人が「みなさんこんにちは!」と言っているのを聞いて、は再び溜息をついた。



























隣で一馬が辺りを見渡しながら俺に言う。


「女子は少ないみたいだな」
「何だよ一馬、女子狙いか?」
「違ぇよ!」


それをからかってやれば、一馬真っ赤な顔をして反論する。
面白いな、とさらにそれを煽って、涙目になって反論する一馬を横目に前の人の話に耳を傾ける。


「1年生の皆さんはじめまして!私は西園寺玲。この学校の副校長です。
 2年生の皆さんお久しぶりです!では今から1年生の組み分けをしたいと思います。
 1年生は呼ばれた人から順番に前にある帽子を被ってね!じゃあ、夏樹莢さんから行ってみましょうか!」


サイオンジさんね。
あの時も思ったけどどっかで聞いた事あるような気がしないでもない。
でも知り合いだったら手紙で入学の説明されたときに言うはずだし、なぁ?


「なんだ、女子いるんじゃん」


まだ言うか、と一馬に目を向けようとするとそこに居たのは一馬ではなく結人。
結人は帽子を被った女の子を見て腹を抱えて笑い出す。
何事かとそれを見ると顔が半分隠れてしまっていた。
笑ったら可哀想だろ?と思う、思うが。
いくら何でも・・・デカいだろそれは!


「ホントだな。・・・お、グリフィンドールだってよ。赤いヤツだよな。」
「そうだぜ。あの赤いトコ。」
「ふーん・・・あ、次男の子みたい。」
「捺。静かだったから居ないかと思った。」
「ゴメンゴメン。知り合い探しててさ、・・・居なかったけど。」
「そうそういるもんでもないでしょ」
「まぁねー」


『グリフィンドール!』


「またグリフィンドールだって。」
「今の藤代だ。敵になるかなー・・・」
「敵、ってクィディッチ?」
「そ。あいつ上手いんだよなー」


へぇ。と言いながら俺は後悔していた。ちゃんと顔見とけばよかった、と。
どんどんと名前が呼ばれていくけれど、新入生が一際少ない寮があった。
緑色の寮だ。
確か名前を、スリザリン。
来る前に母さんに聞いた話ではそこは『闇の魔術師がいっぱい出てる』らしい。
だけど、だけど、だ。


「小島捺さん!」
「あ。あたしか。行って来ます!、また後でね。」
「は?」
「じゃ!」


何で俺に言う。
しかも後で、って同じ寮になるって予測してるんだろうか。
それだったらすごいけど。
と、俯きがちだったの顔を結人ひょいと覗き込んだ。
それに驚いてがのけぞると一馬にぶつかる。


「大丈夫か?」
「あ、うん。ごめん。」
「結人、何してんのさ」
「悪い!俯いてたから何かと思ったんだけど俺が逆に危害を!」


まだ英士が出すオーラに気合負けしているからか、結人はへこへこと頭を下げた。
(そこまで大げさに・・・)
そんな事をしていると、前のほうでは帽子が口(?)を開いた。


「スリザリン!」


心なしか、捺が笑った気がするんだけど。
そのすぐ後に英士が呼ばれ(被った瞬間にスリザリンと即答された)一馬も呼ばれた。
一馬は散々悩まれた挙句英士と同じスリザリンになった。
英士と捺がそれを歓迎している。
2年生もやっとメンバーが入ったということでホッとした様子だ。
この時点でグリフィンドールとレイブンクローには7人づつの新入生が入っているのに、
スリザリンには今の3人を入れても5人しか入っていない。
しかも3人は続けて入ったのだからそれまでは2人しかいなかったということなのだ。


「結人も来るだろうね。」
「あ、そうそう。あたし、も来ると思うんだよね!」
「何でそんなことが分かるんだよ2人とも」
「「勘?」」
「・・・か、勘・・・」


そんな会話がテーブルの周りで繰り広げられていたなどとはまったく知らない2人はというと。


「スリザリンは嫌だー・・・!!」
「何でだよー、もスリザリンでいいじゃんかー」
「なんで『も』なんだよ」
「俺もスリザリンだから!」
「んなこと分かんねぇだろ・・・?」


言い争いをしていた。


「若菜結人!」
「はいっ!じゃ、。また後で!」
「えー・・・?」


結人が前に出て帽子を被ると1分くらい静かだったが、それから帽子がパカと口を開いた。
(何となく、嫌な予感。)
がそう思ってまもなく。


「スリザリン!」


わ、と歓声が起こる。は頭を抱えた。
(ちょ、ちょっと待ってよ。なんで結人の言うとおりになる!?)
その後に呼ばれた人たちはなかなかスリザリンには呼ばれなかった。
途中で女の子も何人か呼ばれていたけど、その名前はの耳には入らない。
あぁ、もう!


!」
「・・・ハイ」


椅子の上に置いてある帽子をひょいと被ると、やっぱりそれは大きかった。
後ろに傾ける様に被ると帽子は何か言い出した。
・・・ちょっと待て。これも魔法か?魔法なのか?


『おや?君は探しモノをしてるのかね?』
「あ、うん」
『しかも、うん。面白い。これはいい』
「何が」
『君のココロと性格。それからその探しモノだよ。』
「ちょっと。」
『決まりだな。』
「聞けよ」
『スリザリン!』
「・・・・・」


は溜息をついて帽子を置くと、緑色の寮に顔を向けた。
向けたはいいが、ちょっと待てとその顔を強張らせた。
待て、待て、待て。
何であいつら、あんなに笑顔なんだよ・・・!!
はテーブルに向かって歩くとストンと不機嫌な表情で腰をおろした。
そして頭を抱える。
その様子を不思議に思った英士、捺、一馬の3人は結人に顔を向けた。
何せ一番最後までと一緒に居たのは結人だ。
結人なら何か知っているのではないかとそう言いたいのである。
結人はんー、と少し考えるとあぁ、と手を叩いた。


さ、スリザリン嫌だって言ってたぜ?」
「何で?


そう捺が問うと、はゆるゆると頭を上げた。
そして心底嫌そうに呟いた。


「母さんの、寮なんだよ・・・」


その言葉に4人が固まるのも無理は無い。
ついでにやっぱここかよ、とも呟いているのだから。


「ついでに、ほら。俺の性格からココかな、とは。思ってたんだけど・・・!」


その言葉に捺はそうだよね!と笑顔での肩をたたいた。
それに力無く笑うと、結人達3人は不思議そうに顔を見合わせる。
知り合ったばかりの男女が何故そんなに仲良さげなのか分からない、と。
彼らがその意味に気が付くのは、もう少し先のお話。









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